ハウスドルフ空間のコンパクトな部分集合が閉集合であることの証明

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命題
ハウスドルフ空間$H$の部分集合$S$がコンパクトであるならば、$S$は閉集合である。

証明
$S$が閉集合であることは、$T=H-S$が開集合であることを示せばよい。
$T$が開集合であることは、$T$の任意の一点$t$が$T$に含まれる開近傍を持つことを示せばよい。
以降では$t \in T$を固定して考える。$S$の任意の点$s$をとったとき、$s \neq t$であり、$H$がハウスドルフ空間であることから、$s$ごとに、
$$
s \in U_s,\, t \in V_s,\, U_s \cap V_s = \phi
$$という開集合$U_s, V_s$を取ることができる。
$s$を$S$全体で動かしたときの$\displaystyle\bigcup_{s \in S} U_s$は$S$の開被覆になるが、$S$がコンパクトであることから、有限個の$U_s$を選んで$S$の開被覆を作ることができる。すなわち、有限個の$U_s$を適切に選んで$U'_1,\ldots,U'_n$と名前を付け直し、
$$
U = \bigcup_{k = 1}^{n}U'_k
$$
が$S$を含むようにできる。また、$U_s$を$U'_k$に名前を変えるのに合わせて、$V_s$を$V'_k$に名前を変えて、
$$
V = \bigcap_{k = 1}^{n}V'_k
$$
とする。有限個の開集合の共通部分なので、$V$は開集合である。
ここで、
$$
V \cap U'_k = \phi
$$に注意する。
このとき、
$$
\begin{align*}
V \cap U
&= V \cap \left(\bigcup_{k=1}^n U'_k \right) \\
&= \bigcup_{k=1}^n \left(V \cap U'_k \right) \\
&= \phi
\end{align*}
$$となる。
すなわち、$V \cap U = \phi$であり、
$$
t \in V \subset H - S = T
$$がいえる。
これは$V$が$T$に含まれる$t$の開近傍であることを示す。
以上で、$T = H-S$が開集合であることが示されたので、$S$が閉集合であることが証明された。
(証明終わり)

※松坂和夫『集合・位相入門』を参考にしています。


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『数学ガール』作者。毎週火曜日は結城メルマガ。毎週金曜日はWeb連載「数学ガールの秘密ノート」。文章書きとプログラミングが好きなクリスチャン。

— 結城浩 (@hyuki) 2015年5月17日