行列の共役が作り出す関係が同値関係であることの証明

$ \newcommand{\SETL}{\bigl\{} \newcommand{\SETM}{\bigm|} \newcommand{\SETR}{\bigr\}} \newcommand{\NATURAL}{{\mathbb N}} \newcommand{\REAL}{{\mathbb R}} \newcommand{\PRIME}{{\mathbb P}} \newcommand{\COMPLEX}{{\mathbb C}} \newcommand{\ZEE}{{\mathbb Z}} \newcommand{\QUE}{{\mathbb Q}} \newcommand{\LAND}{\,\land\,} \newcommand{\LOR}{\,\lor\,} \newcommand{\LNOT}{\lnot} $


$n$次の正方行列$A,B$に対して、関係$A \sim B$を以下のように定義するとき、この関係$\sim$が同値関係であることを証明する。
$$
A \sim B \Longleftrightarrow \text{$P^{-1}AP = B$を満たす正則行列$P$が存在する}
$$

(反射律)$P$として単位行列を取れば$P^{-1}AP = A$が成り立つから、$A \sim A$である。

(対称律)$A \sim B$のとき、$P^{-1}AP = B$なる$P$が存在し、$Q = P^{-1}$と置けば$Q^{-1}BQ = A$である。したがって、$A \sim B$ならば$B \sim A$である。

(推移律)$A \sim B$かつ$B \sim C$であると仮定する。このとき、$A \sim B$から$P^{-1}AP = B$なる正則行列$P$が存在し、$B \sim C$から$Q^{-1}BQ = C$なる正則行列$Q$が存在する。よって、$Q^{-1}BQ = Q^{-1}P^{-1}APQ = C$である。ここで$R = PQ$と置けば、$R^{-1}AR = C$が成り立ち、$A \sim C$であることがいえる。

以上より、関係$\sim$が同値関係であることが証明できた。

※反射律は単位行列、対称律は逆行列、推移律は行列の積に対応しているのが興味深い。


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『数学ガール』作者。毎週火曜日は結城メルマガ。毎週金曜日はWeb連載「数学ガールの秘密ノート」。文章書きとプログラミングが好きなクリスチャン。

— 結城浩 (@hyuki) 2015年5月17日